蕎麦屋の粋な使い方として、蕎麦屋で酒を飲むというのがある。秩父には、夜酒が飲める蕎麦屋というのは、ほとんどない。昼酒が飲める店はあるが、比較的早い時間に終わる蕎麦屋が多い。秩父の街中にある居酒屋で酒を飲んで、帰ろうとしたが小腹がすいたので、何か食べてから帰ろーかな、という話になることがある。そんなときに重宝するのが、この入船である。
ところで、ソ連という単語をご存知だろうか。いまは無きソビエト連邦共和国の略称だと思った人は、普通の常識人である。ははあ、杉浦日向子のソ連を指しているなと気づいた人は、蕎麦通の人であろう。この2つ以外を発想した人は、吟遊詩人とか、前衛芸術家の才があるかもしれない。
話が脱線したが、杉浦日向子のソ連が何かということに関しては、「ソバ屋で憩う」という本を読んでみてほしい。その本の中には、秩父の蕎麦屋が2軒紹介されている。一軒は有名なこいけ、そしてもう一軒がこの入船である。蕎麦通の人がセレクトした蕎麦屋さんだから、私がどうこういうより、権威があるのは間違いない。
それだけの蕎麦屋を酔っ払ってわけのわからないまま最後の最後に行ってしまうのは、失礼だというお怒りを受ける前に、昼飯として素面のときに入船の蕎麦を食べに行くことにした。周辺は古い町並みが並ぶ。秩父織物が全盛だったときは、その商人が行き来する街としてにぎやかだったらしい。店に入りくるみ汁そばを注文した。
器が大きい。そして赤い。なにか、お殿様が食べるような器である。蕎麦は、うまい。まじめに丁寧につくられている。そんなこと蕎麦屋としては、当たり前のことだが、この当たり前のことができてない蕎麦屋も多い。、
さすが、杉浦さんおすすめの蕎麦屋さんだけのことはある。
秩父市番場町11-5



酒が入った後に入船の蕎麦が最高です。
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